キミはずっと、かけがえない人



この場所なら、この格好も納得がいく。

このホテルの中でも1番高級なレストラン。

ドレスコードが必須な場所だ。

大ホールの中に席はあって、ピアノからいつも生演奏が聴けるそう。


ディナーの時間とあって、人が結構いた。

みんな、リッチだなぁ、なんて思ってしまう。

普通に食事をしているのを見ても、世界が違うと感じてしまう。



ところで、何でこんなところでご飯?

両親だって一般人なんだから、ここで食事をするほど余裕はないはず。

記念日とかでもないのに。


不思議に思いながらも案内されたのは、大ホールの奥にある個室だった。

へぇ、個室なんてあったのか。

よく分からないまま入ると、なぜか先客がいた。



「お待たせしました」



母親がお辞儀をしながらそう言う。

え、一緒なんだ。

知らない人と食事とか、本当になんなんだ。

親のあとを歩きながら、先客の顔を見る。




< 4 / 210 >

この作品をシェア

pagetop