キミはずっと、かけがえない人
この場所なら、この格好も納得がいく。
このホテルの中でも1番高級なレストラン。
ドレスコードが必須な場所だ。
大ホールの中に席はあって、ピアノからいつも生演奏が聴けるそう。
ディナーの時間とあって、人が結構いた。
みんな、リッチだなぁ、なんて思ってしまう。
普通に食事をしているのを見ても、世界が違うと感じてしまう。
ところで、何でこんなところでご飯?
両親だって一般人なんだから、ここで食事をするほど余裕はないはず。
記念日とかでもないのに。
不思議に思いながらも案内されたのは、大ホールの奥にある個室だった。
へぇ、個室なんてあったのか。
よく分からないまま入ると、なぜか先客がいた。
「お待たせしました」
母親がお辞儀をしながらそう言う。
え、一緒なんだ。
知らない人と食事とか、本当になんなんだ。
親のあとを歩きながら、先客の顔を見る。