キミはずっと、かけがえない人



「それでも、先に子供が出来るのはどうかと思うけど」

「イヤ、アイツは既成事実作る気満々だったけど」

「んー、それはお母さん嫌かな」

「だろうね。それはなんとか阻止しよう。私だって嫌だし」



結局、私は逃げることは出来ない。

実家へ逃げ込んだところで、すぐに連れ戻される。

逃げるなら、誰も知らないとこへ行かないと。

だけど現実問題、仕事がある以上はこの街から出られない。

急に辞めれば迷惑をかけてしまう。

大人しくしているしかないということだ。



「あ、そうだ。亜依、前のアパートの鍵ちょうだい。返さないといけないから」

「え?あ、そうか。って、何でそれを承諾してんのよっ」

「解約された以上はね……」



全てが、あのじいさまの思う通りになっている。

あっちの都合に巻き込まれたくないのに。



「亜依、スマホこんなとこに置いてあるけど、鳴ってるわよ」




< 44 / 210 >

この作品をシェア

pagetop