キミはずっと、かけがえない人
「それでも、先に子供が出来るのはどうかと思うけど」
「イヤ、アイツは既成事実作る気満々だったけど」
「んー、それはお母さん嫌かな」
「だろうね。それはなんとか阻止しよう。私だって嫌だし」
結局、私は逃げることは出来ない。
実家へ逃げ込んだところで、すぐに連れ戻される。
逃げるなら、誰も知らないとこへ行かないと。
だけど現実問題、仕事がある以上はこの街から出られない。
急に辞めれば迷惑をかけてしまう。
大人しくしているしかないということだ。
「あ、そうだ。亜依、前のアパートの鍵ちょうだい。返さないといけないから」
「え?あ、そうか。って、何でそれを承諾してんのよっ」
「解約された以上はね……」
全てが、あのじいさまの思う通りになっている。
あっちの都合に巻き込まれたくないのに。
「亜依、スマホこんなとこに置いてあるけど、鳴ってるわよ」