キミはずっと、かけがえない人



「聞かれるに決まってんじゃん。親戚って言った」

「親戚って。間違ってないけど、婚約者って言えばいいのに」

「違うしっ。じゃ、行ってきまーす」



逃げるようにして家を出た。

送ってもらうなんて、冗談じゃない。

せっかく親戚ですませているのに。

それ以上でも、それ以下でもないのに。


彼が何を考えているのか、さっぱり分からない。

私をここに置いておくメリットはない。

ましてや、好きなんてこともないだろう。

結局、一緒にいる理由なんてないのだ。

でも、私は動けない。

1人で引っ越しなんて無理だし、勝手に移動したら連れ戻されるだろう。

かといって、いつまでもここにいる訳にはいかないのだけど。


そんなことを思いながらも、毎日をここで過ごした。

嫌だけど、他に行く場所がない。

お金に余裕がある訳じゃないから、ホテルで過ごすとかも出来ない。

仕方なく、ここへ帰ってきて2人分の食事を作る。




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