キミはずっと、かけがえない人



彼は毎日、定時で帰って来るらしい。

どこにも寄らず、まっすぐと家へ。

残業とかないのかと聞くと、じいさまに止められてるとか。



「残業なんてするより、亜依との時間を大切にしろって」



イヤ、そんなことしなくていいんです。

さすがに重要な会議や抜けられない飲み会には出るけど。

それでも、細かく報告してくる。

そんなことせずに、仕事を優先すればいいのに。


そんな訳だから、一緒のタイミングでベッドに入ることが多いのだけど、不思議なことに何もない。

最初に既成事実を作るなんて言っていたけど、手を出すことはなかった。

だけど、抱き締めて眠ることや、朝起きてキスされるのは日常茶飯事だった。

やっぱり、何がしたいのかよく分からない。





そんなある日、会社に見知らぬ女性が現れた。



「川崎亜依さんはいるかしら?」



そして、おかしなことを言う、

ここに、私を訪ねて来る人がいる訳がないから。




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