キミはずっと、かけがえない人
そんな中、次々と料理が運ばれてくる。
「先に料理をいただこう」
こんな異様な空気の中、食べろと言うのか。
それでも、みんな食べ始める。それも無言で。
ここは、通夜の席かと突っ込みたくなるんだけど。
うちの両親に至っては、お待たせしました以降、何も言わない。
私は、未だに状況が飲み込めないのに。
それでも、テーブルの上には滅多に食べられない高級料理が並んでいる。
ここは、美味しくいただいておくのがいいのかもしれない。
敷居も高い場所であれば、料理だってそう。
テレビや雑誌でしか見たことがないようなものが並んでいる。
一口食べれば、やっぱりおいしい。
無言の中、あっという間にデザートまでたいらげた。
私はこれで帰りたいけど、そうはいかないだろうな。
「一息ついたところで、本題に入ろうか」
食後のコーヒーが来たあと、年配の男性が話し出した。
仕切るのはこの人らしい。