キミはずっと、かけがえない人



年配の男性と、母親ぐらいの女性と……。



「…………っ」



思わず声を出しそうになった。

それでも、この場では大声は出せないと、なんとか押さえた。

だけど、頭の中は落ち着かない。


何が起きているの?

何で、私はここに呼ばれた?

そもそも、何でこの人がいるの?

ずっと逢っていなかったのに。



「君が、川崎の娘の亜依か」



混乱する中席に着くと、年配の人が言う。

言い方もだけど、態度も偉そうだ。

一体、何者だろうか。

とりあえず、彼の関係者に違いはないだろう。

よく見れば、女性の方は彼の母親だ。

以前、私の母親と同じ会社にいたから覚えがある。



「はじめまして」



状況が見えないうちは、逆らわない方が身のためだろうな。




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