キミはずっと、かけがえない人
そのあと、逃げるように部屋に戻ったのが不自然だったんだ。
この人は、それを見てほっといてはくれないんだ。
「何で泣いた?」
私と向き合うと、そっと目尻に触れながらそう言う。
泣いたことさえバレていたらしい。
「泣いていない」
理由なんて言えない。
私自身、分かっていないんだから。
「そんなに目真っ赤にして、説得力ないけど」
そう言ったかと思えば、今度は目尻をペロッと舐める。
「な、何してるのっ」
「俺に弱みを見せるとどうなるか分かってる?」
「……え?」
ちょっとだけ切なそうに見られて。
かと思えば、正面から抱き締められる。
力いっぱい。
そして、ゆっくりと後ろへ倒れていく。
え、ちょっと待って。
何で、押し倒されてるの。