彼と愛のレベル上げ
翌日の土曜日は朔也さんの教えてくれたメニューをジュンさんと一緒に作った。

私なんかよりジュンさんの手付きが良くて、きっと料理もすごく上手に作れるようになるんだろうななんて言ったら、


「上手につくれるかどうかより、自分のために一生懸命作ってくれたかどうかが重要ですよ」


なんて私が嬉しくなるような言葉を言ってくれた。

またこの言葉で、いつかジュンさんにご飯を作ってあげられる事を目標にもっと料理を上手にできるように頑張ろうと心に誓った。

クリスマスにはまだちょっと早いけど。それでも離れて住んでいる私にとっては今日がクリスマスだ。



     *****


食後にリビングでゆっくりしているとジュンさんが、


「モモ、明日は買い物に出たいんですが」

「あ、はいっわかりました」


ジュンさんが自分の買い物に付き合って欲しいだなんてこと今までになかった。

だから、すごく嬉しくて何を買うかとかそんな事は全く気にならなかった。


「朝はゆっくりして、ブランチを外でいただきましょう」


できれば時間一杯までジュンさんとここに居たかったけど、買い物があるんだもん。我慢しなきゃ。


「はい」

「そのかわり…



そのかわり?

ジュンさんの声が甘く変わって、その声に私の中でドクンと音を立てた。


昨日お風呂で少し湯あたりしてしまった私を気遣ったジュンさんは、ただ抱きしめたまま眠りについた。


「今日は、飲み過ぎても居ませんし、のぼせても居ませんよね?モモ?」

「え?あ、…はい」



昨日玄関であんな風に自分からジュンさんを求めたのに、お風呂から上がった私は……

きっと急に色々考えて頭がパンクしてのぼせたのかも。

だって明日は潤兄とご飯に…


「…今、何を考えてました?」


え。今一瞬曇った顔をジュンさんに見られたのかも。


「あ、」

「今は、俺だけを見て考えて…感じて欲しい」


そうだ。
今は、ジュンさんだけ。

この時間はジュンさんと二人だけでいられる時間にはジュンさんだけを…


「ジュンさん……」


それが私の答えだとわかってくれたジュンさんは私をそっと抱きしめると


「…寝室で」


静かに耳元でそう言って肩を抱くと寝室へと促した。



その日、私の意識が途切れる前に聞いたのは鳥のさえずる声だった
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