彼と愛のレベル上げ
その隙にジュンさんの腕の中からすり抜けて浴室を出た私。

ジュンさんもあんな顔するんだ。


――そういえば私。


いつも頭の中で思い返す時『主任が』こうだったなとか思い出してたのに。

今思い返した時には『ジュンさんが』って、すって出てきた、

あんなに何度も言いなおしをさせられるほどだったのに。

いつの間にかこんなにもジュンさんが身近な存在になっている事を嬉しく思い、笑みをこぼした。


ジュンさんと付き合い始めて半年。

苦手な上司だったのに、新たな一面を見ていつのまにか恋心を抱いてた。

それが恋だと気付くまでには少し時間がかかってしまったけど。

そして今でもずっとジュンさんに恋してる…、


恋してる?……なんだか、違和感



ずっと主任に恋してた。


これは間違いない。



でも、今は―――?


恋だけじゃない気持ち


それに気づいたから


私は……



カチャ


リビングのドアが開き、タオルで髪をふきながらジュンさんが入ってきた。


「モモ、」

「あ、私もお風呂入ってきますね」


微笑んでそう答え、ソファから立ち上がる。

ふと、ジュンさんはお風呂上がりに何か飲むのだろうかと思いなおし振り返った。


「あの、ジュンさん。何か飲みますか?」

「あぁ、大丈夫です。自分で取りに行きます。モモはお風呂に」

「はいっ、ではお風呂いただきますね」


こういう何気ないやり取りもなんか新婚さんみたいでいいななんて思いながらお風呂に向かった。



チャポン―――


たった半年でこんなに欲張りになった気持ち。

好きのその先にあるのは?



目を閉じて考える。




ジュンさんとのその先の未来。

ずっとずっと一緒にいられるためには?



毎日一緒にジュンさんと過ごす未来。

私がもしも東京に住んでたら?

もしも東京で仕事をしていたら、毎日じゃないかもしれないけど今よりもっと過ごせるかもしれない。


『一分でも一秒でも長く一緒に過ごしたい』


そう言ってくれたジュンさんの言葉を思い出しながら……



営業でもない、しかも実績も何もないただの補佐の自分が本社に異動なんて事はあり得ない。

現実問題無理、だよね?

そっと溜息を落とし、浴室から出た
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