彼と愛のレベル上げ
いっそさらってくれればいいのにと思った事もあるけれど、それではずっとジュンさんに依存したまま。

だけどそれではこの先にきっと行き詰ってしまうから。

逃げるのではなく挑むぐらいの気持ちで進んでいきたい。


「大切なことなのできちんと考えて結論出しますね?」

『はい、待ってます』


そのまま電話を終えて布団に入る。

お婆様の家では毎日布団を敷いている。

最初はお母様が使っていた天蓋付きのベッドの置いてあるお部屋をと言われたんだけど、そんなお姫様みたいな部屋は無理。

何と言ってもお婆様はお母様の部屋を娘時代に使って居たままにしてあった。

だからきっと想い出深い部屋なんだろうと思い、別の部屋を希望した。

ここは昔、住み込みの方のいた八畳の部屋だけど私には十分な広さ。

たった三ヶ月のことだし、必要があればマンションに帰れるからあまり荷物もない。

この部屋もあと数週間か……


東京への異動を受けるなら、この街で暮らすのもあとわずか。

週末には実家に帰る約束をしている。

とりあえず、今日はもう寝よう。




     *****




土曜日。実家に一人戻ってきて早速両親へ報告。


「それで?桃華はどうしたいんだ?」

「自分の力を試してみたいと思ってる」



一年前の私だったら仕事から逃げる事ばかり考えてた。

だけど今は、私にもできる仕事があるなら、私の力が欲しいと言ってくれるのならやって見たいと思う。

これもジュンさんが仕事に対する姿勢を教えてくれたから。

今でも上司としてすごく尊敬している。


「一つ条件がある」

「条件?」


まさかお父さんの口からそんな言葉が出るなんて思ってもなかったから、ちょっと間抜けな顔をしていたのかもしれない。


「一人暮らしをするなら反対だ」

「へ?」


なんか、その話どこかで聞いたような……


「堂地さんが東京に居らっしゃるんだし、一緒に住めばいいじゃない?」


あっさりとお母さんが言う。


「ただし、きちんと婚約をしてから」

「え?だってもうあと数週間のことだよ?」

「それでもだ」


お父さんのこの言葉にはお母さんも私も驚いた。
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