彼と愛のレベル上げ



「うん、桃ちゃんのわがままだね、それ」

「え?」


今日はランチ時間の説教ではなく、飲みながらです。

いや、正しくは久しぶりに望亜奈さんとの飲みに来たのになぜか説教です。


「だってさー相良さんの優しさをそのまま受けちゃってるだけじゃない?」

「そう言ったら身も蓋も……」

「でも事実でしょ?」

「ソウデスネ」

「いや、そうですからね?」

「…ハイ」


わかってます。望亜奈さんの言いたい事は。

でも潤兄が何かおかしくて、やっぱり心配で潤兄を知ってる望亜奈さんに相談したんだけど……

気がつけば説教になってたって言う。



「相良さんも、本当に大変よねぇ……」

「なんですか?それ」

「……大変は大変ってことよ」


いや、全然説明になってません、望亜奈さん。


「その様子じゃやっぱり、全然わかってないのね……」

「やっぱりって何ですか?」


だって、ほんとに望亜奈さんの言ってる事。意味がわかんない。


「じゃあさ、考えてみて、桃ちゃん。

桃ちゃんはなんとも思ってない人と一緒にご飯食べたり、飲んだりする?

お教室の迎えに行ったり、引越しの手伝いしたりする?」


こうして望亜奈さんとだって一緒に飲んでるわけで、お迎えだって言われれば……


「私と。今飲んでるとかそういう話とは違うわよ?」

「ぇ……」

「相良さん、ある意味やってること主任と一緒よね?」

「え?」


考えてみれば……


「でもそれって頼りないいとこが心配で、引越しだって伯母さんに言われたからで。」

「…桃ちゃんにはここまで言ってもわかんないか……」


わかんないって、何が?

だってそれ以外の理由なんて……


「でも私の口から言うわけにはいかないから」

「私が自分で気づかないとダメってこと、ですよね?」

「まぁ、そうね」


潤兄がどういう気持ちでいるのかとか
何があったのかとか


それがわからない私は本当に鈍感ということなんだろうか……
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