ワンだふる・ワールド ~飼育系女子の憂鬱な1週間



気を取り直して仕事に取り掛かった沙希だったが、なかなか集中することができない。  


『よろしくお願いしますぅ』  


忌々しくも笑顔の子猫が自分を嘲笑うかのように目の前に浮かんでは消えていく。
忌々しく思う理由は、子猫にだけではない。


その原因が私にもあるからだ。
ハチが自分に絶対の忠誠を誓っていると慢心していた。


自分の忠犬に指名しただけあって、ハチにしたって他の子にとって魅力がないわけではないのだ。
子猫がハチにチョッカイ出してるんじゃないか?って心配することこそが私の手落ちだ。

でも今はこのまま良からぬ想像を繰り返してても仕方ない。

真相を確認してみないことには何も始まらない。  

< 74 / 153 >

この作品をシェア

pagetop