エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
「それで砂羽が必死に走り回っているのを見ていたら、その頃のことを思い出して。泣いてもいいんだと教えたくなった。泣いたっていい。泣いてすっきりしたら、また顔を上げて前に進めばいいんだって」


彼は私の手を強く握る。

翔さんは泣いたのだろうか。
いや、自分は泣けなかったから、私を泣かせてくれたのかもしれない。

きっと彼は必死に踏ん張って、ここまで来たんだ。


「翔さんは強いんですね」
「強くないさ。へこんでたって言ってるだろ?」


彼は照れくさそうにクスッと笑みを漏らす。


「けど……お前にはできないと散々言われたから、成功できたんだろうな。絶対に自分の理想とするビジネスモデルを軌道に乗せてみせるって、闘志がメラメラってやつ?」


やっぱり強い。
私ならへこんであきらめている。

私、そんなにすごい人と付き合ってるんだ。


「私、幸せですね」


そんなことを考えていたら、勝手に口をついて出てしまった。
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