エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
「ブランピュールを立ち上げた頃、ちっともうまくいかなくて……毎日のようにへこんでさ」


唐突に話し始めた彼は、私の髪を優しい手つきで梳きだす。


「そうだったんですね」


今や飛ぶ鳥を落とす勢いなのに。


「うん。お前はデザインバカだから経営なんてできるわけがないって、デザインを志していた仲間からも同業他社の人からも、相当陰口叩かれた」
「そんな……」


私はびっくりして顔を上げ、彼を見つめた。
遠くに視線を送ったままの彼の横顔がどことなく切なげで、胸が締めつけられる。


「俺、砂羽に『泣けばいい』なんて言ったけど……その当時、多分俺も泣きたかったんだよな。俺をバカにしたヤツを見返してやりたいという強い気持ちと、どれだけ努力しても壁にぶつかってばかりでうまくいかないジレンマで、毎日苦しくて」


成功の陰には、そんな苦労があったんだ。
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