エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
翔さんの描いたデザインならすべて採用になるとばかり思っていた私には驚愕だった。
でも、そうやってブランドの高い品質を守っているのだ。

稲田さんに持っていかれてしまったのは、翔さんがこれならいけると思った作品ばかり。

彼女もそれをファイリングしているのを知っていて持っていったのだと思う。


震えが止まらない体を自分で抱きしめていると、彼はすぐに電話をかけ始める。


「——俺だ。デザインもやられた。稲田の動向を探ってくれ」


相手は会社の誰かだろう。

探さなくちゃ。
稲田さんを見つけて、デザインを取り返さなくちゃ。

とっさにそう思った私は、玄関へと走った。

なんのあてもなく、探しようがないことなんてわかっている。
それでも体が勝手に動いていた。


「砂羽」


ドアのカギに手をかけたところで、うしろから翔さんに止められ我に返る。


「ごめんなさい。私が安易に部屋に上げたりなんかしたから……」
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