エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
「砂羽」


すると彼は、いつものように柔らかな声で私の名を呼ぶ。


「砂羽がいてくれてよかったよ。ひとりでは冷静になれなかったかもしれない。大丈夫だ。ブランピュールはそんなにやわな会社じゃない。デザインがなくなったならまた描けばいい」


そうは言うが、稲田さんが持ち去ったデザイン画は大量だった。


「砂羽が無事ならそれでいい。砂羽がそばにいる限り、デザインはいくらでも湧いてくる。稲田になにも言われなかったか?」
「はい」
「お前が傷つくのが一番怖い」


翔さんの言葉に涙が止まらなくなる。
叱られても仕方ないのに、こんなに優しい声をかけてもらえるなんて思ってもいなかった。


食事のあと、私がシャワーを浴びている間に、翔さんは電話でなにやら話していた。

リビングから聞こえてくる彼の声を廊下でしばらく聞いていたが、彼は取り乱した様子はなく、淡々と指示を出し続けている。
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