エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
「離して。返してもらわなきゃいけないの!」


体をよじり警備員を振り切ろうとしたのに、男の人の力にかなうはずもない。


「デザイン画を返して!」


渾身の叫び声を上げると、社長が振り向いた。


「お願いです。返してください」
「君はなにを言ってるんだ。ブランピュールのデザインなんて知るわけがないだろ。名誉棄損で訴えるぞ」


そんな……。
どうしたらいいのかわからなくなったとき、拘束されていた手がふと緩んだ。


「その汚い手を離せ」


低い声が聞こえたかと思うと、スッと腰を抱かれる。


「翔さん……」
「堂本(どうもと)社長。お久しぶりです」
「一ノ瀬くん……」


翔さんの顔を見た堂本社長は、途端に顔色を変える。


「稲田。お前はなぜここにいる?」


極めて冷静に言葉を紡ぐ翔さんの視線が、稲田さんを捉える。


「それは……」


稲田さんは唇を噛みしめている。
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