エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
「顔、見せて」


彼は私をちょっと強引に離し、顎に手をかけ持ち上げる。
そして視線を絡ませ、続ける。


「これからの俺は、全部砂羽のものだ。だから、許して」


許すもなにも、過去があるのは当たり前のことで、私が大人げなく嫉妬しただけだ。

翔さんは顔を近づけてきて、私の額に額をぶつける。


「その代わり、砂羽の未来は俺のものだから」


そうつぶやいた彼は、さらに距離を縮めてくる。
キスされる、と思ったとき……。

——トントン。


「はっ……」


ドアをノックする音に必要以上に驚いてしまい、翔さんが笑いを噛み殺している。


「お茶をお持ちしました」


坂井さんだ。


「はい。どうぞ」


翔さんは返事をしながら、私の顔を見て「セーフ」と口で形を作り小さく笑った。


「ありがとう」


彼に続いてソファのある部屋に戻ると、坂井さんがテーブルにモンブランとコーヒーを並べてくれる。


「ご結婚されるとお聞きしました。おめでとうございます」
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