エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
おしゃれなカフェ、ではなく昔からあるこの喫茶店は、父も息抜きによく利用していた。


「お仕事中にすみません」
「いえ、大丈夫です」


席につきコーヒーを注文すると、坂井さんは口を開く。
なにを言われるのかと少しドキドキしながら、耳を傾けた。


「昨日、奥さまが飛び出していかれて……翔さんは相当落ち込んでいらっしゃいました」


彼女があのあとのことを話し始めたので、緊張のあまり顔が引きつる。


「そう、ですか……」
「申し訳ありません。翔さんになにがあったのか全部お聞きしました。ですが奥さま、本当に誤解です」
「えっ……」


坂井さんは切羽詰まったような顔をして、私に強く訴える。


「奥さまは、翔さんが重人さんと手を組み、奥さまのご実家の会社を手中に収めようと画策したのだと思われていますよね?」
「……はい」


嘘をついても仕方がないので、正直に答える。


「実は……翔さんと重人さんはあまり仲がよろしくなくて」
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