エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
橋さんたちが丹精込めて織ってくれた正絹は、滑らかで光沢が上品だ。

まさに、峰岸織物の技術を余すところなくつぎ込まれた一品だった。


胸が震える、というのはこういうことを言うのだろう。

ずっと守りたいと思ってきたものが羽ばたいていくと考えていたら、これから大勢の前に立たなければならないという緊張感より、喜びのほうが大きくなってくる。

翔さんはそれすらわかっていて、私にこの大役を任せてくれたのかもしれない。


「砂羽」


準備が整い控室のイスに座っていると、翔さんの声がして顔を上げた。


「はー、最高だ。すごくきれいだよ」


感嘆のため息を漏らす彼は、私の近くまでやってきて膝をついて視線を合わせてくれる。

そして私の左手を取り、甲に唇を押し付けた。


「ありがとう、ございます。まさか、白無垢を着られるなんて……」
「着せてよかった。そうでなければ一生後悔するところだったよ」


彼は柔らかな笑みを見せる。
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