囚われの王子様。

あ、まずい。変な受け答えをした気がする。

違うことを考えていたところに、突然の質問。

咄嗟に答えたもんだから、つい適当なことを言ってしまった。しかも大きな声で。


なんだか異常に灯油を欲しがってるみたいな感じになってない?


どうしよう、とハンドルを握る須藤さんの隣で妙に落ち着かない。


そんな私を尻目に、須藤さんは『ふーん』、と相槌を打っただけでなにも変わった様子はない。

良かった、特に気にしてないみたい。


ふたたび車内に沈黙が走る。

エンジン音が全くしない、立派なこの車から聞こえるのは、暖房の音と小さな音で流れているラジオだけ。


あれ、これ食事より難易度高くない?

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