婚姻届と不埒な同棲
その日、私は大きな荷物を持って成田国際空港へと降り立った。

…どこに行ったらいいんだっけ。

空港のあちこちを見回す。
当然だけど、看板には漢字やひらがなが並んでいる。

数年ぶりの日本。
だけど、懐かしむ気持ちにはなれなかった。

「高垣萩花さんですね。
お迎えにあがりました」

振り返ると、執事の服装に身を包んだスマートな男性が立っていた。

「さ、こちらへ」

私は荷物を奪われると、有無も言わさずに車へと乗せられた。
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