婚姻届と不埒な同棲
窓から見える景色が、徐々に見慣れた街並みに変わっていく。

暫くすると高級住宅街に入った。
そして、大きな家が建ち並ぶ一等地で一際目立つ豪邸が見えてきた。

その豪邸の門を、車でそのままくぐる。
敷地の中まで乗り付けると、さっそく家の中へと入った。

リビングと言われれば納得してしまいそうなほど広々とした玄関。

外とは違った空気が流れている。

あ…。
なんだか、落ち着く匂いがする。

大学を卒業してドイツに旅立つまでの約4年間、私はこの家でメイドとしてお世話になっていた。

ここに足を踏み入れると、その頃を思い出す。
< 4 / 139 >

この作品をシェア

pagetop