寡黙な御曹司は密かに溺愛している
「なぁ、お前ら知ってるか?」

桃城課長の挨拶が終わると、各チームでのミーティング。

それが終わったので私は、ほわっとニャン商品の市場調査に出かけようとしていると、チームリーダーである辻本さんがコソッと私と美嘉を自分に近づけて耳打ちするように小声で言った。

「あの新しい課長、桃城の御曹司らしいぞ。直系の一族で会長の孫らしい」

「えっ?てことは、次期社長とかですか?なのになんでうちの課長?」

辻本さんの話にグイッと食いつく美嘉。
私も苗字を聞いてそうだと思ったけれど、正直あまりこの手の話は聞きたくない。

それなのに、二人はチラチラと課長を見ては会話を続ける。

「それが次期社長候補ってのがたくさんいるみたいでさ、とりあえず直系の一族ってことらしいからいきなり課長クラスなんだと」

「そうなんですか。でもリーダーなんでそんなこと知ってるんですか?」

「いや、それがさチラッと噂で耳にしたわけ。課長も桃城だし、まんざら嘘じゃないだろ?」

噂?馬鹿馬鹿しい。
そんなことを知って、どうしたいの?

自分と同じ境遇だと聞いたからか、好奇の目で話を続ける辻本さんに苛立ちが止まらない。

口を割って入るつもりはないけれど、早く立ち去りたくて、バンと大きな音を立てて、立ち上がった。
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