寡黙な御曹司は密かに溺愛している
「待たせてすまなかったな」


そうおじいさんに声を掛けて部屋に入って来たのは和服に帽子というオシャレな老紳士。


「お待たせしてすみませんでしたね」

そう私にも言い、笑みを見せるおじいさんの友人に、見覚えがある気がした。


なぜだろう。おじいさんの友人で尚且つ、孫同士を結婚させたいと願う人ならば、私みたいな一般市民とは面識なんてあるはずがないのに。


でも、その疑問は一瞬にして明確になった。


その人の後にスッと部屋の中に入って来た私のお見合い相手を見てすぐに。




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