王太子様は、王宮薬師を独占中~この溺愛、媚薬のせいではありません!~
エピローグ

その日、ギールランドの首都ロンザは、晴れ渡っていた。

大聖堂の鐘が鳴り、祝福の声が響き渡る。エマにしか聞こえない、マグパイの皮肉交じりの祝福も。


「あいつは全く分かっていない。エマには黄色が似合うんだ。そりゃ、白だって似合うけど。……ああでも、あの光りものはいいな。うん」


エマは、この日のためにつくられた純白のウェディングドレスを身にまとい、薔薇をあしらった髪飾りをつけている。バームの目に魅力的に映っているのは、首もとを彩る豪奢なネックレスだ。結婚の祝いにと、キンバリー伯爵家から贈られたもので、選んだのはシャーリーンだということだ。


『あなたのセンスでは不安ですから、私が選んで差し上げたわ』という皮肉交じりの祝いの言葉が添えられていて、相変わらずだわ、とエマは楽しくなってしまった。


今、ギルバートとエマは教会での誓いを終え、大聖堂を出たところだ。
これから王城に戻り、祝いの晩さん会が開かれる。

そちらには作法がわからないからとエマの両親は遠慮し、デイモンとクラリスが代理と称して参加する予定になっている。妹のジュリアは興味本位もあるのか、参加したいと言い、ギルバートがドレス一式を手配した。
彼女のエスコートはセオドアの弟がすることになっている。


< 192 / 220 >

この作品をシェア

pagetop