20代最後の夜は、あなたと
月曜日、私は普段通り出社した。


私を見て、霧島課長は少し驚いた顔をした。


向かいに座っていた伊勢くんに、


「おはよう」


と声をかけたけど、無視された。


そりゃそうか、伊勢くんを拒否したのに、課長は部屋に入れたんだから。


伊勢くんと私の微妙な距離をすばやく感づいた川島さんが、


「伊勢さーん、おはようございまーす。


今日のミーティング、よろしくお願いしまーす」


ワントーン高い声で話しかけていた。


「資料よろしくな」


伊勢くんも、ちょっと笑いながら答えていた。


そのミーティング、私も参加するんですけど。


めっちゃ疎外感、感じるんですけど。


仕方ない、私がまいた種だ。


「じゃあ、朝礼始めるぞ」


課長の声で、フロアが引き締まった。


10時からのミーティングは、特に問題なく進行した。


私は、ズルかった。


このまま、伊勢くんと距離をあけようと思ったからだ。


< 153 / 197 >

この作品をシェア

pagetop