20代最後の夜は、あなたと
「もういいよ。


俺たち、終わりにしよう」


「なんで、急にそんなこと言うの?」


「急じゃねーよ、年末年始で考えてた」


「私のどこがイヤなの?」


「どこってわけじゃねーよ、もう白紙に戻したくなったんだよ」


「そんな・・・」


「俺は、札幌で心機一転がんばるから、紗和も仕事がんばれよ。


あ、安心しろよ、俺が辞めるまでは今まで通り彼氏のフリするからさ」


「伊勢くんは、それでいいの?」


「よくなかったら、こんなこと言わねーし」


優しくしたり、冷たくしたり、態度が変だったのは、きっと迷ったり悩んだりしてたからなんだ。


「わかった、じゃあリセットしよう」


「ってことで、明日から厳しく引き継ぎやるからな」


「別に、厳しくしなくてもいいんじゃない?」


「俺は、紗和のために厳しくすんだよ」


「お手柔らかにお願いします」


「紗和」


「ん?」


最後にそっとふれただけのキスは、気のせいかひんやり感じた。


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