20代最後の夜は、あなたと
「カンパーイ!」


私は、わざと明るく声をかけた。


奈緒は一気に半分くらい飲み干すと、ここにはいない霧島課長をにらむように話し出した。


「アイツ、とんでもないゲス男だよ」


「何があったの?」


奈緒の話はこうだ。


霧島課長に興味があった奈緒は、受付として必要な書類の更新のため、課長のところへ行った。


奈緒の気持ちに気づいたのか、霧島課長は会社近くの店を教えてくれ、って飲みに誘った。


その日は連絡先を交換しただけだったけど、


「河瀬みたいな美人に彼氏がいないなんて、信じらんねーな。


俺、立候補しようかな」


と、最後に言ったそうで。


脈ありと思った奈緒は、積極的にアプローチ開始。


でも、同じ秘書課の受付嬢仲間に話したら、同じことを言われた同僚が3人もいた。


で、奈緒が代表としてビンタした、という次第。


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