20代最後の夜は、あなたと
ダメ出しされまくり
昨日あったことが嘘みたいに、奈緒も霧島課長も普段通りだった。


社内コンペは会議室でおこなわれ、全員が席を外すわけにはいかないので、社長以下役員数名と、各部長と課長の前で、社員が一人ずつ発表していく。


つまり、他の人の発表内容は、ほとんどわからない。


ただ、一人ずつ会議室へ入るわけではなくて、5人グループになって入れ替わるので、同じグループの人の発表は見られる。


私は、同じグループになった伊勢くんと一緒に、ギリギリまで資料を見直し、シュミレーションした。


私たちのグループのトップバッターは、伊勢くんだった。


おしゃれなシャワー水栓、水はけのよいシンク、最新IH。


次々と新機能が紹介されていく。


社内で発表するだけなのに、めちゃめちゃ緊張してきた。


「伊勢、なかなか面白かった。


じゃあ次は、宮本」


「はい」


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