35階から落ちてきた恋
「どうしたの、果菜。俺と一緒にいるのをアツシに知られたくなかったとか?」

「違いますよ。進藤さんが思わせぶりなことをアツシさんに言うから気が気じゃないっていうか。その・・・果菜は俺のだなんて」
自分で言って恥ずかしくなり顔が熱い。変な汗をかきそうだ。

進藤さんはアツシさんに冗談で言ったのだろうにそれを私が一人で本気にしているみたい。

でも、人前でそんな冗談を言ってはいけないと思うんだけど。誰が聞いているかわからないような状況で。
進藤さんはそういう立場の人だ。

進藤さんはおやっという顔をした。
「ああ、そうか。やっと自覚した?じゃ、そろそろ次のステップに進むか」

「何の話ですか、自覚とか次のステップって」
私の言いたいことが伝わっていないばかりか次のステップってなんなの?

「ここに来たのは正解だったな。そろそろ鈍感な果菜でも気が付く頃かと思っていたんだが。やっとだ」

「私が何に気が付くって?」
鈍感と言われる覚えはないけど、全く何のことかわからない。
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