35階から落ちてきた恋
「今のところネットでの反応は概ね好評ですよ。もちろん反対派もいますけどそれはタカトのビジュアルを考えたら仕方ないでしょうね」

私は深く頷いた。
わかってる。私だって西隼人に恋人がいるって事務所が発表したら微妙な反応になるだろうから。

「果菜」隣から低い声がする。
「お前、今、西隼人が交際宣言したら自分も嫌だろうなとか置き換えて考えただろ」

え、何でわかるのよ。
ギョッとして身体をぎくりとさせてしまった。

「やっぱりな・・・」

「い、痛っーい!」
またもやデコピンが飛んできた。

「ひどっ!二回目!!!」

「あったりまえだろーが。お前はこんな時まで他の男のことを考えやがって」

「本気で考えてたわけじゃないわよ。そんなことより女性にデコピンするってありえないわ」

「いや、俺の前で他の男のこと考えるお前の方がありえねーだろ」

「横暴だわっ」

ギャーギャー騒ぐ私たちに大きな咳払いが聞こえた。
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