35階から落ちてきた恋
「山崎社長。ごめんなさい。私、あの、邪魔しちゃって。そんなつもりはなかったんですけど。進藤さんのマンションで私のじゃないですし、私が帰りますから、進藤さんと社長でマンションを決めてもらえば・・・」
私のせいで引っ越しの予定が付かないなんてことでは申し訳ない。
社長も進藤さんも忙しい身体だ。
「何言ってんのよ。果菜ちゃんは貴斗を見捨てるの~?」
「見捨てるだなんて。そんなつもりはないです。けど」
「けど?」
「けど?けどってなんだ」
進藤さんと社長の二人から同時に声がした。
進藤さんのは低くて怒ってるみたいで顔が上げられない。
・・・私たち、一緒に暮らしてるわけじゃないですよね。
心の中で呟いた。
進藤さんの背中を押していた社長の手が止まる。
「貴斗。やっぱりあんただけ帰んなさい。果菜ちゃんは今夜私が預かるわ」
「は?」
「え?」
思いがけない山崎社長の言葉に私も顔を上げた。
進藤さんはムッとしている。
「なんで果菜を置いて帰らなきゃいけないんだ。連れて帰るに決まってんだろ」
「いいから。あんただけ帰んなさいって。私、今夜は果菜ちゃんと女子会するって決めたの」
「社長、バカなこと言うなって。とにかく果菜は連れて帰るから」
「いいから、あんただけ帰りなさい」
言い争いが始まり、私は二人の間でオロオロとするだけで口をはさめない。