35階から落ちてきた恋
はあー。
大きくため息をついた。

私は腹をくくって「確かにあれはLARGOのタカトです」と集まるスタッフに告げた。

きゃーと悲鳴に似た雄たけびが上がる、
「やっぱりいー」
「ね、ね、果菜さん、どこで知り合ったんですか?やっぱりこの間のVIP?」
「どういう関係ですか?私たちにも会わせて下さいよ」
「付き合ってるんですか?お迎えに来るとか信じられません」
「普段のタカトってどんな感じなんですか?」

「ちょ、ちょっと待ってよ。そんなみんなが気にするほど私たち特別な関係じゃないから」
押し寄せる質問の嵐に恐怖すら感じる。

ほら、知り合いってきいただけでこうなんだから。
もし、熱狂的なファンに私の身元がバレたらなんて考えるとゾッとする。

「進藤さんと私は共通の知人がいてそこで出会ったの。でも、そんなに親しいわけじゃありません。お互いの連絡先の交換とかもしているわけじゃなかったから、進藤さんは昨日ここに来てしまったというわけです。他にお話しできるようなことは何もありません。以上です」

昨夜のうちに考えていたセリフを口にする。
しかし、どう考えても皆がこれで納得するはずはない。

「ええー、それだけじゃわかりませんよ」
「全く納得できないー」
「で、昨日はあれからどこに行ったんですか」

次々と質問が飛び、詰め寄ってくるうちの若い子たち。
ひいーん、だから今日は来たくなかったんだよ。進藤さんのバカ。

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