35階から落ちてきた恋
残りの昼休みをギリギリまで公園で時間をつぶして、みんなと顔を合わせづらく午後からの仕事イヤだなと思いつつクリニックに戻った。

・・・が、私の予想に反してみんなは普通だった。

「果菜さん、診察室の方をお願いします。私はエコー室に入ります」
「点滴、準備できてます」
「処置室入りまーす」

いつも通り、いやいつも以上にてきぱきと働いていて違和感がある。

じっと見ていると知世ちゃんと目が合った。

「果菜さーん、診察室で木下先生がお待ちですよ。いつも通りお願いしますねぇ」とにっこり笑顔で返される。

何だろう、美知子さんが何か言ったのだろうけれど、みんなのこの態度。
その後も、他のナースも興味津々だった留美ちゃんも一様に通常運転。

首を傾げつつ今日の仕事を終えた。

そのまま帰りの更衣室でも進藤さんのことを聞かれることもなく、私は無事に家路についた。

美知子さんに私が席を立った後のことを聞こうかと思ったけれど、更に美知子さんに何か探られても困るからやめておいた。
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