35階から落ちてきた恋

「進藤も果菜さんと一緒にいるせいか穏やかだな」

「そうだな。果菜といると気持ちが安定する。それにコイツ面白くて退屈しない」

ん?
面白くて退屈しない?

「また、ひとのことオモチャにしてるんでしょう」

「果菜の感性に感心してるだけだ。バカにしてるわけじゃないさ」

「面白くて退屈しないって」

「それは仕方ないだろ。本当のことなんだから」

「私にそんなこと言うのは進藤さんだけですよ」

「じゃあ、果菜は俺の前でだけあんなことするんだ」
とニヤっと笑う。

またアレだ。
『あんなこと』なんてアツシさんの前で思わせぶりなことを言わないで欲しい。

「もうっ」と口を尖らせると、アツシさんが呆れたように

「進藤と果菜さんっていつもこんな感じなのか?」

と聞いてくる。

すると私が答えるよりも先に進藤さんが口を開いた。

「果菜は口よりも目がものを言うんだよ。そのせいでいろいろ面白いことが起こる。それ以外でも俺をリラックスさせてくれる果菜の存在はかなり貴重だよ」
そう言って私の頭をポンポンとする。
そんな進藤さんは穏やかに笑っている。

私も膨らんでいた頬を戻して笑顔になる。
「私も最近やっと慣れてきました。楽しいです。進藤さんと一緒にいると。私も穏やかな気持ちになれます」
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