空になりたい。

忘れない。

空の死から1週間がたった。

今、私は学校に行っていない。

行けないのだ。

ご飯も喉を通らない。

笑えない。涙も流れない。

誰とも会いたくない。話したくない。

もしも、願いが叶うなら空ともう1度話したい。

空の声が聞きたい。空に触れたい。



1週間がたった今も空の死と向き合うことが出来ていない。


「ひなたー?彩香ちゃんきたよー。」

お母さんはそういって私の部屋のドアを開けた。


「ひなた?」

彩香が私の部屋に入ってきた。


「随分ひどい格好してるね~」

ぼさぼさの髪の毛。ずっと着たままの部屋着。


「あ…ほんとだ…」

久しぶりに鏡を見た気がする。

「ひなた!これから行きたいところあるんだけどついてきてくれる?」


「え。いまから?私今でる気分じゃない。」

「お願い!気分転換も必要だよ?」

お葬式から一歩も外に出ていない。

久しぶりにでるのも悪くないかもしれない。

「わかった…今準備する」

そういって私はまずお風呂場にいった。


シャワーを浴びて洋服に着替えて。

「準備できたね!よし!いくよ!」

そういって彩香は私の手をとり歩き始めた。

「ねえ?彩香ー?どこいくのー?」

「ないしょ!」

そういって彩香はにやっと笑った。

しばらく歩くと彩香が口を開いた。

「まずはーここだよ!」

そういって彩香が指を指した先にはパンケーキ屋さんがあった。

「ここ?」

「そう!ここできたばっかりなの!行きたかったからさ!」

彩香はそういうと私の手を引っ張り店の中へと入っていった。

ふわふわのパンケーキの上にたっぷりの生クリームといちごがのっている。

「…おいしそ…」

「でしょ!ひなたなら絶対言うと思った!」

パンケーキを一口サイズにきって口の中へいれた。



ただ甘いだけ。



彩香はおいしい~と頬を手で抑えながら食べている。

「おいしいね!」

「…そう…だね。」

笑えない。笑いたいのに笑えない。


空がいないこの世界で私はどう笑えばいいんだろ。


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