社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
推定180センチはあるだろう相良さんに、155センチの私はすっぽりと収まる。


「…今日、秋葉さんから番号を教えて貰いました。相良さんに会いたくて仕方なくて、つい電話をかけてしまいました。勤務中かな?とは思ったんですけど…」


「最近忙しくて、帰りも遅いです。…なので、平日はしばらく会えません。先に言うべきでしたね」


上を見上げると相良さんの顔が近くに見えたので、これはこのままキスされちゃうのかな?とか抱き締め返してくれるのかな?と妄想したのも束の間、
「…なので、金曜日の夜まで大人しくしていて下さいね」
と言われて、抱きついていた身体を引き離された。


あれ?


「では、また」


先程までの焦った様子の姿はなくクールな相良さんに戻り、過ぎ去ろうとしたので腕を掴み引き止めた。


「あ、あのぉ…電話じゃなくて、メールならしても良いですか?」


「はい、返信は遅くなると思いますが…」


上目遣いで見て訴えるが、相良さんは動じない様で無表情のまま。


「それでもかまいません!メールならいつ送ってもいいですか?」


「…仕方ないですね、アドレス交換しましょう」


少しだけ、口角を上げて私に向けて微笑んだ気がした。


ドキン、と胸が跳ね上がる。
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