社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
モデルの様な立ち振る舞い、時として小悪魔の様に微笑むカッコ可愛い系の若い副社長は通り過ぎるだけで女子社員の歓声が上がる。


婚約者が居るとの噂だが、女子社員はまだ望みがあると思っているのか、少しでも接近して自分に目を惹きたいらしい。


副社長は愛想も良く、自分から各部署にお邪魔しては社員の話を聞き、信頼も厚い様だ。


「王子の事、朝見れるだけでも幸せっ」


奈子ちゃんが嬉しそうに呟く。


「私は…相良さん…」


「えぇ!?相良さん!?た、確かにカッコイイですけど、無愛想だし、いつも無表情じゃないですか!…笑ったところ、見たことないかも…!」


誰も見た事がないかもしれない相良さんの笑ったところを私は見た事がある。


副社長といる相良さんは自然体で、お互いに信頼しているのか、友達同士のやり取りの様な感じに見える。


いつもはクールで仕事が出来る相良さんのギャップにキュンとして、もっと接したいと思う様になった。


眼鏡を外して、眼鏡の奥の瞳を見てみたい。


素の表情を見てみたい。


もっと話をしてみたい。


それなのに、恋は始まる前に終わりました───……
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