社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
必死な姿を見て、相良さんは吹き出すように笑った。


「…したいなら、そう言えば良かったのに」


な、何を平気で言っているの!?


そんな風に言われたら、私のした行動がとても恥ずかしく、顔から火が出そうなくらいに火照りを感じた。


言えるはずがない。


言葉に出すのには勇気がいるし、接近禁止と言われてるのに目の前にいる今の状況が奇跡に近い訳で、それに言ったところで怒られるのは目に見えているもの…。


「…では、また明日。胡桃沢さん、17時20分過ぎてますから早く終わらせて下さいね」


切り替え、早いな。


相良さんは私に軽めのキスをすると、何事もなかったかの様に給湯室から出て行った。


冷たくあしらわれたり、甘やかされたり、相良さんの態度一つ一つに振り回されている私。


ゆっくりと指で唇をなぞり、相良さんの姿を思い出す。


仕事中の冷酷な態度は、誰にも近寄って欲しくないからなのかな?


自惚れかもしれないけれど、私と居る時の相良さんはちゃんと笑ったりするもん。
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