社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
会える時間を増やすと言われたら嬉しいのは当たり前だけれど、秘密の社内恋愛はとても窮屈で切ない。


誰かの目をかいくぐり抱きしめられて、優しく頭を撫でて貰って…、そんな秘め事は秘密の社内恋愛でしか味わえないときめきなんだけれど…。


大人の駆け引きが出来ない子供じみた私には、秘密の社内恋愛は難しいと痛感。


「あの…、1つ聞いてもいいですか?明日の事なんですけど…?」


「はい、決まりましたか?」


「それが全く決まらなくて困っています。どうしたら良いですか?それぞれ1日ずつ決めるとかは駄目…ですか?」


「…分かりました。明日は胡桃沢さんの好きな場所にしましょう。明後日は私が決めます。都合の良い時間にお迎えに行くので、後からメール下さいね」


別れ際に今よりも少しだけ力を入れて抱きしめられて、子供をあやす様に頭を撫でられ、いつもの様に頭をポンポンされてから身体が離れた。


まだ離れたくなかった私は相良さんのネクタイを取り出して、引っ張る。


両頬に両手をそれぞれ触れてキスをしようとしたのだけれど、背伸びをしても届かなかった。
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