愛人契約
あんな終わり方をしたのに、また紹介してくれたんだもの。

贅沢なんて、言ってられない。

それに、話をするだけなんて。

普通のバイトよりも簡単だ。


「今度の日曜日に、会いたいって言ってきてるんだけど。」

「はい。分かりました。」

私は、目に前にあるサンドイッチをほおばった。

「ねえ、本当にいいの?」

「何がです?」

そして、サンドイッチと一緒に頼んだコーヒーを、一口含んだ。

「本田さん以外の人と、契約して。」

その時、一瞬手が止まった。


本田さん、以外の人。


「……いいんです。もうあの人とは、終わりましたから。」

「そう……」

そうよ。

自分が大事にしている人の娘と愛人契約だなんて。

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