愛人契約
普通の人だったら、できないもの。


「それにしても。」

三宅先輩は、こうも続けた。

「強くなったわね、日満理。」

「そうですか?」

私は、食べていたサンドイッチを置いて、ガッツポーズをした。

「これからは泰介の為に、生きていかなきゃ。」

「そうじゃなくて。」

「えっ?」

三宅先輩は、私を見て微笑んだ。

「女はやっぱり、愛されると強くなるのよ。」


胸の奥に、何かが落ちた。


「女としての自信が生まれるって言うのかな。それはもしかして、本田さんから貰ったものなんじゃないの?」

私は慌てて、三宅先輩の腕をつついた。

「止めて下さいよ。もう、あの人の話は。」


もう、終わりにするって、私は決めたのだ。
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