愛人契約
それでも本田さんは、黙って私達を見ている。


もう見ないで。

他の男に襲われようとして、泣きべそかきそうになっている私なんて、見ないで!


「君の言う通りだ。僕と彼女は、もう関係ない。」

「そら見ろ。」

「だから、一人の男として言っている。彼女は嫌がっているんだ。その手を放せ。」

「くっ!」

矢部さんは、私を本田さんの方を投げ捨てると、上着を持ってどこかに行ってしまった。


肝心なのは、その後で。

今、関係ないと言った本田さんの胸の中に、私はいる。


「ありがとう……ございました。」

取り合えずお礼を言って、離れようとした時だ。

本田さんに、後ろから捕まった。

「……放さない。」
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