愛人契約
「……すみません、キャンセルします。」

「あっ、そう。」

私は傷付いたまま、立ち上がった。


「ったく。お嬢様が。使い道が弟の治療費?弟も気の毒だな。」

扉を閉める際に言われた一言が、更に追い打ちをかけた。

どうすればよかったんだろう。

やっぱり私は、世間知らずのお嬢様なんだろうか。


その時、病院から電話が入った。

『泰介君のお姉様ですか?』

「はい。」

『至急病院へ来て下さい!弟さんが……意識不明に陥って!』

「泰介が!?」

私は電話を受けて、病院へ急いだ。


「泰介!」

ベッドの上では、何人かの医師と看護師が、泰介の周りを囲んでいた。

「泰介!泰介!」


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