血まみれ椿姫
大丈夫といいながらその目の下は少し黒くなっていて、あまり眠れていないのかもしれないと思わせた。


「そうですか……」


「でも……」


先輩はフッと肩の力を抜いて外を見た。


「次は、あたしの番かもね」


「え……?」


先輩の言葉に俺は目を見開く。


「先輩、それってどういう意味ですか?」


思わず、先輩の机に手を置いて身を乗り出す。


「別に、屋上でタバコを吸っていた2人が亡くなっちゃったから、順番的にあたしかなぁなんて」


そう言い、古家先輩はいたずらっ子のように笑った。


「でもっ……」


「さ、読書の邪魔だよ」


俺の言葉を遮り、古家先輩は本を開いた。


「先輩!」


声をかけても返事をしてもらえず、俺は肩を落とした。
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