血まみれ椿姫
「風花はここにいる……」


まるで老人のようにしゃがれた声で、そう言ったのだ。


「なに言ってるんだよ」


「風花はここにいる」


そう言い、城はなにもない空間を指さした。


「冗談はやめろよ」


自分の声が震えているのに気が付いた。


城は傷ついているんだ。


だから、風花の幻想を生み出しているんだろう。


頭ではそんなふうに理解ができていた。


でも、城の考えを受け入れる事ができない。


「風花も綾菜ちゃんも死んだ。見ただろ? チェンソーで首を切られる所を!」


城の肩を揺さぶりそう言う。


城は大きく目を見開き、俺を見た。


「チェンソーなんて大嫌いだ!」


怒鳴るようにそう言い、手足をばたつかせて暴れはじめる城。


俺はその場から飛びのいて城から距離を置いた。
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