血まみれ椿姫
「城、しっかりしてくれよ! あの女の子を見たのも、あの声を聞いたのも。俺とお前だけなんだ!」


「知らない! なんのことだかわからない!!」


城は叫びながら立ち上がると、今まで座っていた椅子を両手で高く持ち上げた。


「やめろ!!」


俺の叫び声が響き渡り、城が椅子を振り下ろす。


ガンッ!


と激しい衝突音がして、椅子のパイプが曲がってしまった。


「風花は生きてる! 風花は……!」


物音を聞きつけた看護師2人が部屋の中に入ってきて、城は床にねじ伏せられた。


「風花は……生きてる……!!!」


必死にそう言う城は俺を見て、大粒の涙をながしたのだった……。
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