血まみれ椿姫
☆☆☆

後悔しているのはきっと俺だけじゃない。


クラスメートのみんなも、担任も、そしてご両親も。


風花と綾菜ちゃんが亡くなるとわかっていれば、もっと毎日を大切にしただろう。


もっと仲良くして、もっと悩みを聞いて、もっと同じ時間を過ごしたに違いない。


特に、娘を同時になくした両親は葬儀中は本心状態で、事件当日の気丈さは感じられなかった。


あの時は俺と城を庇うために必死になってくれていたのだろう。


そう思うと胸の奥が締め付けられるようだった。


その時、俺の横の通路を城が通った。


ハッとして顔を上げると城は祭壇へと向かっている。


その足取りはおぼつかなくて今にも倒れてしまいそうだ。


不安になり、腰を浮かせる。


城1人で大丈夫だろうか。


「行ってあげなよ」


トモキが小声でそう言った。


「あぁ」


俺は頷いた、その時だった。
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