血まみれ椿姫
そうだったんだ……。


俺はジッとその写真を見つめた。


おばあちゃんと、5人の作業員。


みんな微笑んでいるが、心からの笑顔ではないということがわかるような、悲しみに満ちた笑顔だった。


それは今までに亡くなって行った作業員たちを思っての事かもしれない。


「大勢の人が亡くなったのに、どうして作業は中断されなかったんだ?」


「その頃は世間で死に至る病が流行っていてね、椿森の伐採が従業員たちに影響しているという考えには至らなかったんだよ」


おばあちゃんの言葉に俺は頷いた。


確かに、学校で見た記事にもそう書かれていた。


「もしかしたら、椿森の呪いだったかもしれないのにねぇ……」


おばあちゃんは目を細めてそう言い、俺は背筋がゾクッと寒くなった。
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